理工系&バイオ系大学院で成功する方法
パトリシア・ゴスリング、バルト・ノールダム著、白楽ロックビル監訳 日本評論社 2010年6月
大半の大学院生は「大学院で成功する方法」について、先生や先輩の言動を見ながら、自分で学ばれるのではないかと思います。でもそれでは「もっと早く知っていればよかった!」と思うこともあるかもしれません。本書は大学院生がより有意義な研究生活を過ごすために書かれた本で、院生がするべきこと、そのノウハウに溢れており、研究生活をスタートする前に一読することをお勧めします。また本書は欧米の著者によって書かれているため、多少「日本と欧米の院生の違い」を知っておく必要があります。こちらは監訳者である、白楽ロックビル氏(お茶の水女子大学教授、生化学、細胞生物学、バイオ政治学専門)が各チャプターで解説します。これはこれで興味深く、この本を他とは比較できない差別化要素(日欧米大学院比較論)となっていると思います。
個人的には、第3章長期目標と短期目標の設定、第5章実験を上手に設計する(計画と目標設定が成功の鍵だと実感しました)、第8章研究室の人間関係 優れたコミュニケーション・スキル(マイヤーズ‐ブリッグスの性格指標を使い、あなたが自分と異なるタイプの研究メンバーとの機能的な働き方について考えます)をお勧めします。また第10~12章の文献検索、国際会議、論文執筆についてのノウハウもためになると思います。
最後に、本書の各チャプター冒頭にある名言のひとつをご紹介します。
“Success is not the key to happiness. Happiness is the key to success. If you love what you are doing, you will be successful.”
「成功は幸福の鍵ではない。幸福が成功の鍵である。
あなたのやっていることが幸福なら、あなたは成功する」
アルベルト・シュバイツァー、ドイツ出身の哲学者、神学者、医者。ノーベル平和賞受賞。
大学院生活を出来る限り楽しみましょう。きっとあなたは成功するはずです。
(N.M. 2020年2月)